優し、恐ろしジユウタン屋

2017年7月14日(金)

昨夜の宿は空港の近くに取ったが、今日の宿は市内の中心部に予約してある。

近くの駅から地下鉄に乗って約1時間、今日の宿近く駅に降りる。

ブッキング.ドットコムで予約した宿はグーグルマップに登録されていて、

オフラインでもナビゲーションしてくれる。

歩いて宿探しする時、これまでずいぶんと助けられた。

今回は勝手が違い、どうしても見つからない。

後で分かつたことだが、ホテルを表示する赤いポイントが実際のホテルの場所とは違っていた。

これでは見つからない筈だ。

通りでキョロキョロしながら歩いていたら、ジユウタン屋のにいさんに声をかけられた。

ホテルを探しているが見つからないと言ったら、
店の中に引きいれられて、

そこでホテルに電話をかけてくれた。

すぐに分かつたらしく、案内してあげるよと言われた。

小さな親切はこんな時ありがたい。

日本人のお客にはいつもお世話になっているから、こんなことは当然だ。

ちょうど今遅い昼飯を取るところだから、一緒に食べないか。

ホテルに案内され、チェックインをすませまたジユウタン屋に戻った。

最近は中国人の旅行者が多いが彼らは口うるさいし、金にもうるさい。

日本人は静かで紳士ばかり、だからあなたにはご馳走したい。

用意されていたのは、トルコ料理のシシカバブーとサラダ。

店の地下にあるジユウタンの在庫部屋で座って食べた。

オーナーのブラクは30歳、独身。

四代続いた店で、アメリカのサンノゼ、ニユジーランドのウェリントンにも店を構えている。

弟のアリも加わってジユウタン講話が始まった。

ペルシャジユウタンは古いものほど価値があり、鑑定書をつけて売られている。

だから田舎の村を回って50年、80年、100年という骨董品のジユウタンを目利きして買ってくる。

モロッコ紙幣の価値は上下するが、ジユウタンは金と同じで安定している。

ジユウタンを買って子どもや孫に資産として相続する人もいる。

そこへブラクの従兄弟がやって来た。名前はハジ。

時々店の手伝いはするが雇われているわけではなく、妻か看護婦なので主夫をしているらしい。


夕方まで時間があるから、少しこの辺りを案内してあげるよ、とハジ。

一応断ったが、一時間くらいの散歩のつもりで行こうというので、また親切に甘えることにした。

グランバザールまでは歩いてすぐだった。

ブルーモスクも近くにあるが、今の時間は込んでいるし、

一番古いというモスクまで歩いた。礼拝の時間なので後30分は入れないらしい。

寺院の外にある展望通りから市内と金閣湾にかかるガラタ橋が見える。

ハジの身の上話。

前は土産物を売る店をやっていたが、不景気で賃料が払えなくなり、借金もかさんだ。

従兄弟のブラクが助けてくれて借金はなくなったが、今は妻の収入で暮らしいる。

子どもは娘が二人、高校生と中学生。まだまだ大変だね。

モスクを見てグランバザールを通り店に戻ったのは午後6時、2時間も案内してもらった。

部屋にはビールが準備されていた。気がきくなあ、渇いてた喉にごくごくと流し込む。

ブラクが実物を見せながらジユウタンの説明を始めた。

これは子羊の喉にある毛だけで出来たジユウタンで、ひとりの女性が8ヶ月かかって編んだ。

こっちはアラビアのデザインで80年前に作られたジユウタン。

デザインやら、年代物やら数種類のジユウタンの説明を受け、店で売る価格も教えてもらつた。

レイさんはどのデザインが好きですか?

このアラビア模様なんか良いですね、と畳半じようほどのジユウタンを指差した。

それプレゼントしますよ。

えっ、そんな高そうなジユウタンもらえませんよ。いったいいくらするのよ。

店では250万円で売っていますが、今日友達になったレイさんには150万円でプレゼントしますよ。

フェデエツクスの送状を持ってきて、日本の住所を書けと言う。

そんなお金はないからと、キッパリ断った。

それまでニコニコして、ジユウタンの説明をしたり、

下ネタの話をして自分で喜んでいたブラクが豹変した。


怒った表情でなじり始めた。友達だと思って色々してあげたのに、その態度はなんだ!

たしかにホテルを見つけて案内された、トルコ料理もいただきました、

市内見物もガイドしてもらい、ビールもいたたきました。

まんまと押し売りのルートに乗せられてしまった。


ここは揉めないように、

「今日かかった料金は払うから、明日またゆっくりジユウタンの話をしようよ」と諌めた。

「そうかい、じやあ1万円もらおうか。明日は10時に迎えにいくよ」

高い料理とガイドとビールになったが、揉めないうちに退散する方が賢明だ。

お金を払い、明日10時に待ってるよと言ってジユウタン屋を後にした。

ホテルを見つけてくれた小さな親切は良いが、それから続いた親切の波状攻撃は

どこかで断ち切るべきだった。


相手は押し売りのプロ、こっちも旅人のプロにならねば、、旅の教訓がまたひとつ増えた。

当然翌朝9時にはホテルを引き払った。




コメント

押し売り芸

前月のマラケシュ、フナ広場でのコブラ踊りの押し売りグループやこのじゅうたん押し売りグループ、役割分担されよく訓練されてますね。好奇心旺盛なRayさんが事件に遇うのは致し方ないとして被害を最小限に抑えて更に前へ進む姿は凄いです。私などはスゴスゴと日本に戻ってしまいそうです。パソコン早く着くといいですね!

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