アブシンベルとカサノバの夜

2017年7月21日(金)

アスワン発8時のバスに乗りアブシンベルには正午に着いた。

ターミナルの近くが町の中心らしいが、店屋が十数軒あるだけの小さい町だ。

今夜の宿は予約してない。バスターミナルからアブシンベル神殿方面へ歩いて探すことにした。

15分歩いて、神殿まで後10分残すくらいのところにあるホテルに入る。

ホテルスタッフは英語が話せる青年、いたって親切で丁寧。名前はアブドウ。

シャワーを浴びてから、ブログをアップし夜を待つ。

夕方6時半、神殿へ向かって暮れかかった道を歩く。

ちょうど日が落ちかかるところで、道の向こうがオレンジ色に染まっている。

アブシンベル神殿の音と光のショーは7時から始まる。チケット売り場には先客がいた。

フランス人のおじいちゃん、おばあちゃん、その娘さんと小学生くらいの男の子がふたり。

今夜の観客は全部合わせて6人だ。

暗くなった神殿へと続く道を誘導灯に沿って歩くと、現れた4体の巨人像。

しかし暗くて輪郭だけがぼんやりと見えるだけ。

何百人と収容できる観客席にぽつんと座り、

もらった日本語のナレーションが流れるイヤフオンを耳につけた。


像の前に設置されている大きなスピーカーから大音響の音楽が流れる。

どんなに大音響でも、流れでる先はどこまでも無人のナセル湖。

近所からクレームは絶対に出ない。

やがて暗闇の中に浮かび上がるラムセス二世の4体の像。

古代エジプトの歴史、ラムセス二世とネフエルトアリとの夫婦愛、

ヒツタイト人との抗争などラムセス二世をめぐる歴史絵巻が、

プロジェクションマッピングで神殿の岩山にスクロールされて映し出される。

スピーカーからはフランス語のナレーションが流れているが、

イヤフオンから聞こえる日本語のナレーションは秀逸で重厚だ。

ラムセス二世と妻とのやりとりの台詞では、まるで舞台劇を見ているようだ。

40分のショーはあっという間に過ぎてしまった。


歩いてホテルに戻り遅めの夕食を屋外のテーブルで取る。

気温は下がり外の方が気持ちいい。

今夜の料理はナイル川で捕れた白身魚。

昨日アスワンで買ったぬるめのビールは、

ホテルに着いてすぐ冷蔵庫に保管してもらってあるので、申し分ない冷たさになっている。

ただし、冷蔵庫に入れる時も出す時も自分でしないといけない。

スタッフのアブドウが言うには、

ムスリム(イスラム教徒)はアルコールを飲むのはもちろん触ることも許るされていない。

食事が終わりタバコをふかしていたら、アブドウが来て、少しChatしないか?

Sure,welcome!

彼はアスワンの語学専門学校で英語とスペイン語を学んだ。

スペイン語の教材はセルバンテスのドンキホーテだった。

おー、そこ行ったよ、セルバンテスの故郷、風車の町カンポ.デ.クリプターナ。

撮りおいていたセルバンテスと風車の写真を見せた。


イスラム教徒の守るべき信仰の五つの柱について教えてもらった。

①アツラーを唯一の神と信じ崇拝する。

②一日に五回の礼拝をする。

③毎年の収入のうち2.5%を貧しい人のために喜捨する。

④毎年の断食を励行する。

⑤一生のうちに一回はサウジアラビアにある聖都メッカを巡礼する。

これがムスリムに課せられた義務だと彼は語った。

モロッコのガイド、ファイサルと違い筋金入りのムスリムだ。

他のムスリムたちが大皿二つにコーラと水のボトルを運んできて隣のテーブルで食事を始めた。

アブドウがみんな仲間内だから、一緒に食べようと誘ってくれた。

ホテルアルバイトのアリ16歳の高校生、神殿の前で土産物店を開いているカサノバ、

同じく神殿の前の喫茶で働いているサハド。

カサノバがアラビア語と時々英語を交じえて、ひとりでしやべっている。

英語の部分は分かるので、彼の話は下ネタばかりだ。

Ray次郎が持参したウイスキーをコーラで割って飲み、ますます調子に乗ってきた。

話が止まらない。他の三人も笑いっぱなしだ。

明日もう一度アブシンベル神殿を見学にいくと言ったら、

是非とも店に寄ってくれ、いいものをあげるからさ。

そんな話をしながら食べていたら、牛のレバーと魚のみじん切りサラダが空になった。

音と光のショーに引き続き上演されたカサノバのワンマンショーも深夜を過ぎ、

幕を閉じる時間になった。

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